公立病院は、「赤字経営が多い」というイメージを持たれることがあります。
しかし近年では、DPC制度への対応、高度急性期医療の強化、救急受入体制の拡充によって、非常に高い経営力を持つ公立病院も増えています。
特に注目されているのが、厚生労働省が公表している「DPC機能評価係数Ⅱ」です。
この指標は、
- 救急医療
- 高度急性期医療
- 地域医療への貢献
- 診療密度
- 医療の効率性
などを総合評価するもので、病院の“実力”を測る重要な指標として活用されています。
今回は、厚生労働省公表のDPCデータをもとに、全国の公立病院の中から「機能評価係数Ⅱ」が高い病院をランキング形式でまとめました。
※なお、厚生労働省は「黒字ランキング」を公表しているわけではありません。
本記事では「DPC機能評価係数Ⅱ=経営力・収益力の強さ」として分析しています。 (mhlw.go.jp)
DPC機能評価係数Ⅱとは?
DPC制度では、病院ごとに「医療機関別係数」が設定されています。
その中でも機能評価係数Ⅱは、
- 救急受入
- 高度医療
- 地域医療
- 医療の効率性
- 重症患者対応
などを評価する重要な指数です。
数値が高い病院ほど、
- 高度急性期医療が強い
- 救急対応能力が高い
- 地域の中核病院として機能している
- DPC収益力が高い
傾向があります。
公立病院 経営力ランキングTOP30【DPC機能評価係数Ⅱ】
| 順位 | 病院名 | 機能評価係数Ⅱ |
|---|---|---|
| 1 | 高知県・高知市病院企業団立高知医療センター | 0.1615 |
| 2 | 神奈川県立がんセンター | 0.1494 |
| 3 | 福井県立病院 | 0.1481 |
| 4 | 名寄市立総合病院 | 0.1378 |
| 5 | 市立福知山市民病院 | 0.1354 |
| 6 | 市立函館病院 | 0.1350 |
| 7 | 知多半島総合医療センター | 0.1348 |
| 8 | 横浜市立大学附属病院 | 0.1320 |
| 9 | 神戸市立医療センター中央市民病院 | 0.1316 |
| 10 | 春日井市民病院 | 0.1313 |
| 11 | 富山県立中央病院 | 0.1292 |
| 12 | 青森県立中央病院 | 0.1291 |
| 13 | 島根県立中央病院 | 0.1290 |
| 14 | 徳島県立中央病院 | 0.1286 |
| 15 | 公立陶生病院 | 0.1283 |
| 16 | 京都中部総合医療センター | 0.1281 |
| 17 | 和歌山県立医科大学附属病院 | 0.1271 |
| 18 | 愛媛県立中央病院 | 0.1256 |
| 19 | 国民健康保険小松市民病院 | 0.1242 |
| 20 | 鳥取県立中央病院 | 0.1240 |
| 21 | 鳥取県立厚生病院 | 0.1229 |
| 22 | 豊川市民病院 | 0.1224 |
| 23 | 佐賀県医療センター好生館 | 0.1198 |
| 24 | 石川県立中央病院 | 0.1189 |
| 25 | 市立東大阪医療センター | 0.1187 |
| 26 | 奈良県立医科大学附属病院 | 0.1177 |
| 27 | 大分県立病院 | 0.1175 |
| 28 | 国東市民病院 | 0.1165 |
| 29 | 山形県立中央病院 | 0.1163 |
| 30 | 市立釧路総合病院 | 0.1161 |
出典:厚生労働省「機能評価係数Ⅱ及び救急補正係数に係る内訳について(令和8年度)」
(mhlw.go.jp)
1位「高知医療センター」が圧倒的に強い理由
高知県・高知市病院企業団立高知医療センターは、全国でもトップクラスの機能評価係数Ⅱを誇ります。
特に評価されているのは、
- 救命救急
- 高度急性期
- 重症患者受入
- 地域医療連携
です。
地方公立病院でありながら、全国有数のDPC評価を受けている点は非常に特徴的です。
なぜ「地方の公立病院」が強いのか?
今回のランキングを見ると、
- 北海道
- 四国
- 山陰
- 北陸
など、地方の中核公立病院が多くランクインしています。
これは、
- 地域唯一の高度急性期病院
- 救急受入の集中
- 医師派遣機能
- 周産期医療
- 災害医療
など、多機能を担っているためです。
特に地方では、公立病院が「地域医療の最後の砦」として機能しているケースが多く、DPC評価にも反映されています。
機能評価係数Ⅱが高い病院は“黒字”なのか?
ここで重要なのは、
「機能評価係数Ⅱが高い=必ず黒字」
ではないという点です。
ただし、実際には非常に相関があります。
理由は、機能評価係数Ⅱが高い病院ほど、
- 入院単価が高い
- 手術件数が多い
- 救急件数が多い
- 高度急性期比率が高い
- 病床回転率が高い
傾向があるためです。
つまり、
「高度急性期医療を効率的に運営できている病院ほど、DPC収益力が高い」
という構造になっています。
2026年以降はさらに“二極化”が進む
2026年度DPC改定では、
- 救急受入
- 重症患者対応
- 高度急性期医療
- 医療の効率化
がさらに重視されています。
そのため今後は、
- 高度急性期に特化した病院
- 救命救急センター保有病院
- 地方独立行政法人化した病院
がさらに強くなると予想されています。
一方で、
- 病床稼働率低下
- 医師不足
- 救急縮小
などが進む公立病院は、経営格差が広がる可能性があります。
今後さらに注目される公立病院
特に今後も評価上昇が期待されるのは、
- 高知医療センター
- 神戸市立医療センター中央市民病院
- 横浜市立大学附属病院
- 神奈川県立がんセンター
- 富山県立中央病院
などです。
これらの病院は、
- 高度急性期
- 救急
- がん医療
- 地域連携
のバランスが非常に強く、全国でもトップクラスのDPC評価を受けています。
まとめ
厚生労働省のDPCデータを見ると、公立病院でも非常に高い経営力を持つ病院が数多く存在しています。
特に近年は、
- 救急医療
- 高度急性期
- 地域医療連携
- 医療効率化
への対応力が、病院経営を大きく左右しています。
今後はさらに、
- 地域中核病院への集約
- 高度急性期への特化
- 地方独立行政法人化
が進み、公立病院の“勝ち組・負け組”がより明確になっていく可能性があります。

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